川西ロータリークラブ 卓話

 卓話者:木下 成会員

職業奉仕と鉄道

鉄道は中途半端な輸送手段と云われています。自動車のドア・ツウ・ドアや短距離移動の利便、航空機のスピードと遠距離の移動などを考えれば、必ずしも皆が好んで鉄道を利用している訳ではないのです。即ち、事故の危険性や駐車場の確保、燃料費のコスト高の場合に、やむを得ず鉄道を選択しているにすぎない。
鉄道が衰退産業と云われて久しいのですが、生き残るためには、自動車・航空機の「すき間」に活路を見出すしかありません。この世界で数少ない「すき間」の条件を満たしているのが我が国であり、厳しい環境と地理的条件のもとに鉄道は成長してきたのです。
一般に鉄道事業はサービス事業として認識されています。ロータリーで言う奉仕(サービス)とは異なるように捉えられていますが、本質は変わりません。鉄道の使命は「安全」「快適」「スピード」を基本として、利用者に安心と満足感を与え、将来に対する夢と希望を提供することにあります。
特に鉄道は、利用者の求める真のサービスである安全の確保について、他の交通機関(航空機・船舶・自動車・バイクなど)と比較して圧倒的に優位であるとされています。
しかし、その鉄道も一旦事故が起きてしまうと、社会に与える影響が非常に大きい。鉄道事業に従事する者は、平素からこのことを十分自覚して、「安全」に対して弛まない努力と意識を持ち続けることが求められるのです。
鉄道も現在に至るまで「安全」に関わる数々の事故やトラブルを経験して来ました。これらのうち、おおくのケースが人為的とみられるもので、当事者の職業に対する奉仕意識の欠如に起因するものです。高度成長に追われ、多少の歪や不都合は無視して、ひたすら自己の事業推進に走った結果が、「安全」に対する組織的な緩みとなって突然表面化したのです。
これから、在来新幹線の路線拡充やさらなる高速化、リニア新幹線の着工など、次々とビッグプロジェクトが目白押しとなります。あらゆる面において、職業奉仕精神に基づいた「安全」に対する配慮が要求されることになります。利用者並びに社会への還元奉仕を片時も忘れてはならないと思います。
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