川西ロータリークラブ 卓話

 卓話者:小林俊康会員

労働事件

弁護士の扱う事件の中で、労働事件はかなり特殊性があります。戦後間なしの頃から、労働運動は政治運動であり、国家・社会を揺るがしかねないエネルギーを発散していました。憲法も、労働者個人の権利(勤労の権利)とは別に、労働組合の権利を保障していることからも、特別の配慮を施していることが分かります。しかし、時代が推移し、労働運動が衰退し、労働組合も脆弱となってきました。現代では、労働事件は、専ら労働者個人の権利の問題として表れます。時間外手当の請求や職場で受けた損害の賠償(広い意味では労災となります)などの経済的要求が主流となっております。これらの要求は、労働審判といった簡易な手続きを利用することができ、労働者が簡単に権利行使できる環境も整備されています。また、現代人にはおなじみとなった心の病が職場と結び付くとき、大変困難で理解の難しい労災問題に発展してゆきます。心の病は周囲から見えませんので、労働者が職場で就労に支障を来している場合、それが労働者の個人的資質に由来する怠業なのか、それとも労働環境(作業内容や人的環境など)に起因する心の病なのか、判断の付かないことがほとんどだからです。
(以上)
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